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設計コンセプト

建築設計について考える時、居住性や利便性はいうまでも無いことですが、日々の営みの中に感動や喜びを提供することも大切な目的の一つです。 

 「空間を支える為の力強く無駄のない構造」 
 「空間を形造る素材の素直で自然な使い方」 
 「空間を演出する光と風の効果的な利用」

これらはそのための最も重要な要素だと考えています。

周知の通り21世紀は環境の世紀といわれています。温暖化をはじめとする地球環境の急速な悪化を防ぐ為には建築計画のあり方も従来の方法から転換しなければならないでしょう。
そのための建築は省エネルギーを実現しながら、快適さを備えていること、安全で機能的でもあること、長寿命で且つ耐久性の高く美しい建築が適正コストで実現されることが重要です。同時に、建築に携わる人々の誇りと技術を守り、文化を伝え、社会資産としても未来に引き継ぐことが出来るものでなければなりません。
小さな力ですがこうした建築を実現することにより、私達も貢献したいと考えています。


アルケドアティスの設計方針

1:建築素材

資源の有効活用・住まう人の健康と安全・長く使われる建築を実現するため、現在も未来も供給可能な自然素材と伝統的で普遍的な建築技術を積極的に使う。

2:室内環境

通風・採光・蓄熱・夜間放射冷却など自然のしくみを建物に活用したパッシブデザインの手法により、光熱費・ランニングコストを抑え且つ快適な室内環境を実現する。

3:社会的貢献

コミュニケーションを重視し、コストコントロールに基づいた、コストパフォーマンスの高い建築を実現する。
そして住まう人の満足度を高め、造り手の誇りを守り、建築文化と建築技術の継承を計る。


建築について

建築とは何でしょうか?私達は『建築』をこのようなものと捉えています。


1.自らの居場所を確認するために

広大な世界、空と海と大地、そこに生息し活動する種々さまざまな生物・・・それらに囲まれて生きる私達人間にとって、自らの「居場所」を持つということはとても重要なことです。
それは茫漠たる世界に於いての身の置き所を決めることだからです。

「居場所」は単に活動・生活の拠点であるだけでなく、人間のアイデンティティの構成に大きな意味を持ちます。自分が生まれ、育ち、毎日を過ごす「居場所」は、知識や情報と同じように私達の精神と人格形成に大きな影響を与えます。

もし「居場所」が無かったとしたらどうなるでしょうか?

私達の生活は中心点を失い、活動は持続性を失ってしまうことでしょう。精神は不安と混迷に向かい、思考は論理的に構築されること無く分裂と混乱に陥るかもしれません。
「居場所」は常に現在という時の中に在りながら、昨日と明日を繋ぐものだからです。

一箇所に定住せず世界を股にかけて活動する人々にも「居場所」は必ず在ります。そのような人々は「居場所」を幾つも持っているのです。
また、特定の場に縛られることを好まない自由人、詩人や芸術家にとっては、世界全体が「居場所」であると言えます。


この「居場所」を確認するための装置であること、それが『建築』の大きな役割です。

そこに『建築』が在ることによって、私達は「自分はここで生活している」あるいは「自分はここで仕事をしている」といった「居場所」の確認を行うことが出来ます。
あるいはこうした『建築』が集まって創り出す景観によって、「自分はこんな地域で暮らしている」という確認を行うことも出来ます。

人間にとって重要な「居場所」が具体的な形となったものが『建築』であると言っても良いでしょう。

このような『建築』は、人間が生きる世界を構成する、人間にとって無くてはならないものだと言えます。『建築』は常に人間と共にあり、人間の居ない『建築』はありえません。


2.永く在ることを前提とした建造物

では、どんな建造物も『建築』なのでしょうか?『建築』とは言えない建造物もあるのでしょうか?

「居場所」を確認するための装置という役割を果たすためには、『建築』の永続性が問われます。人の寿命、あるいは世代を超えて引き継がれる記憶について考える時、『建築』の寿命もまた、永くあるべきことがわかります。

寿命の短い建造物や短期間で大きく変貌する景観は 「居場所」を確認するための装置としてふさわしくはありません。
それは「居場所」が無い場合と同様に、人の精神に不安と混迷をもたらします。

反対に寿命の永い建造物は「居場所」を確認するための装置という役割を充分に果たすため、人の精神に安らぎと落ち着き、新たな活力を与えてくれるのです。

したがって私達は、消耗品として造られるものではない、永く在ることを前提とした建造物を『建築』と捉えています。


3.建築の寿命を決めるもの

さて、永く在ることを前提として造られる『建築』が、実際に長寿命であるためにはどうあれば良いでしょうか?

一般に建造物の寿命について語られる時、その多くは素材と工法に終始しているように思われます。確かに良い素材を用い、しっかりした工法で造ることは大切です。

しかしながら、建造物そのものの寿命はまだ充分あるにもかかわらず取り壊される運命となる場合が非常に多い、というのがこの国の現状です。良い素材を用いしっかりした工法で造っても取り壊される時は取り壊されてしまうのです。
そうして建て替えられる、あるいは失われてしまう建造物は、地震などの天災で失われる建造物より遙かに多いと思われます。なぜでしょうか?

これには幾つかの理由があると考えられます。
道路拡張など都市計画によるものや後継者の不在、経済的要因または政治的要因など・・・

しかしそれらの危機を乗り越え、時には遠く移築再生されて存続する建造物も在ります。決して優良とは言えない素材で、現行の建築基準を明らかに満たさない構造や工法で造られていても修理修復を繰り返して生き残る建造物が在るのです。

この事実に注目すると、実際に建造物の寿命を決めているのは素材や工法ではなく、「建物そのものの魅力」とそれを見出すことの出来る「人の感性」、そして魅力ある建物を次代へ残し伝えようとする「人の熱意」であることが明らかになります。
この内「人の感性」と「人の熱意」については、それを持つ人々との出逢いの有無など多分に運命的なものも含まれます。

したがって『建築』が長寿命であるために先ず重要なことは、「魅力的な建築を創る」の一点に絞られて来ると言えます。


4.建築の魅力とは

それでは『建築』の魅力とは何でしょうか?

すぐに思い浮かぶのは、機能・設備・素材・安全性・規模などとそれを実現するためのコストが適正であることといった主に完成前に明らかになる魅力です。これは具体的で理解され易い魅力であるとともに、必要とされるレベルを満たすことを当然とするべき事柄です。

これに対して、完成後、日々をそこで過ごす内にじわじわと感じる魅力があります。感覚的であるために理解されにくい魅力ですが、それ故に永い時間を掛けて『建築』に対する「愛着」を育くんでくれます。

それはたとえば優良な素材であることよりむしろ素材の用い方であり、時に大胆な構造そのものの表現であり、あるいは空間の包容力と開放性であり、またちょっとした造作のしつらえや窓からの光と風の扱い、象徴性、プランやアプローチの物語性、敷地と周辺環境との関係性などで、最終的にはそこに居る人の感動や喜びへと繋がるものです。

『建築』がそうした魅力を備えた時、人間にとっての「居場所」は人々の精神に貢献する真の意味での価値を持つ、そう私達は考えています。