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昌福寺:書院耐震補強伝統工法による耐震補強・断熱改修とリノベーション。

昌福寺の耐震補強工事「書院」の事例です。いわゆる筋交い補強法ではなく、日本の伝統的な木造技術による耐震強度を得るための限界耐力計算法を用いた耐震補強です。室内三間続きの座敷の持つ開放性を損なわずに耐震補強を行なうため、内部に壁を新設せず、外部に耐震要素として濡縁を設けました。濡縁の垂壁・柱・足固めなどが筋交いの代わりを務めています。
又、建物の材料は全てお寺と檀家の財産であるとの考えから、手を加えるに当たり新材に取って代わられた材料も別の形で徹底的に再利用しています。

書院西側
上:書院西側・濡縁。東西方向の耐力が不足していたため増築した濡縁。下屋が深い陰影を作り、落ち着いた雰囲気となった。
濡縁下の足固めと、下屋を支える力板に貫をプラスした垂壁により構造強度を得ている。
新設した土台は既存に倣い自然石の上に乗せ、石突きを取った。
又、檀家の方々が利用しやすいように断熱性能を向上させるため、掃出しをペアガラス木製サッシに変えた。

書院東側
上:書院東側・濡縁。
戸袋を撤去し、土壁による耐力壁を配置した。断熱性を向上させるために掃出しをアルミサッシからペアガラス木製サッシに変えている。内障子は既存のものを利用。

書院東側
上:書院東側。

前の間から中の間・奥の間を見る
上:前の間から中の間・奥の間を見る。
床下・外壁・天井に断熱補強し、開口部をペアガラスに変えるなど室内環境の向上を図った。又、照度計算に基づいて照明器具を新設した。器具はヒノキ材で囲い、既存の竿縁天井に組み込んだ。これにより軸線も生まれ、空間の奥行を強調することが出来た。

床の間
上:床の間。奥座敷・前の間共、床の間の壁は土壁に松煙とベンガラを混ぜたものを塗った。仏教寺院にふさわしい書画が映えるような色合いとなっている。

座敷から広縁方向を見る
上:座敷から広縁方向を見る

耐力壁を兼ねる間仕切り壁 増築した下屋から中庭を見る
上左:耐力壁を兼ねる間仕切り壁。奥は増築したキッチン。壁仕上げは既存荒板を転用し、ガスバーナーによる焼板張りとした。
上右:増築した下屋から中庭を見る。築山を眺め、西向きではあるが風の抜ける気持ちの良い空間となっている。

既存器具を利用し、制作したブラケット 焼板張りの外壁
上左:既存器具を利用し、当社工房で制作したブラケット。廊下等の6箇所に灯る。民家から採取したアンティークガラスを用いた。
上右:焼板張りの外壁。再利用を徹底させるというコンセプトから、焼板の材料は補強前に畳の下地板として使われていたものを用いた。様々な幅や厚さや材種が異なる板も、ガスバーナーで焼くことにより表面の調子を整える事が出来る。
下部は足固め。150mm×240mmの足固めを2本用いて柱を挟み、柱脚の固程度を高めて耐力性を向上させた。この足固めは外周と内部の主要な通りに設置されている。

書院西側外観
上:書院西側外観。
大屋根の下に補強のために濡縁を増築したため、陰影の深い外観になった。
外壁は鼠漆喰だったものを、今回白漆喰に塗り返し、明るく快適な建物に生まれ変わったことを印象付けている。



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